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経営者の情報源 北法人会ビジネスニュース(2008年10月号)

「それ知ってる」の罠


人間の能力を制限するのは道具より物の見方

実業家が名高い禅僧のもとを訪れて禅と経営の関係について話を聞こうとした。禅僧は客の茶碗が満たされてもお茶を注ぎ続けやがてお茶があふれ出した。実業家は「もう一杯です。これ以上入りません」。禅僧曰く「この茶碗と同様、あなたは自分の考えで一杯です。まず最初にあなたが茶碗をカラにしなければ、どうして禅をお教えすることができましょう」。
パスカル&エイソス

まず、自分の碗をカラにしてみませんか?

相互啓発できる組織は強いですね。ベテランも若手も互いに学び合う風土があり、なおかつそれが日常から当たり前のように行われる。職場の先輩が後輩に自分の学んだ経験を伝え、それを受け取った部下も上司にはない着眼点を提供します。
ある会社でロールプレイング研修をした時の話しですが、その道ウン十年の部長が、新人営業マンの売り込みセンスに驚いたことがあります。

「そんな売り方があったんだ〜」
「よしオレもそのやり方使わせてもらう」

部長はその道で結果を出してきた訳ですが入社1ヶ月の「ほぼ素人」の売り方から学びを得た訳です。

その一方でこのような会社もあります。
例えば、ある営業方法を使った好事例を紹介したことがあります。すると「それは知っているけど、当社には馴染まない」「それは大手のやり方でしょ」「それは前に取り組んだことがあるけど、その時はうまくいかなかった」

これを経営者が言ってしまったら、どうなるでしょう?
いつまでたっても、その会社は変わることはできません。

「それ知っているの罠」とは、私が命名したタイトルですが、脳科学の分野では周知の事実のようです。
知っていると判断すると、脳の海馬がふるい落としてしまうのだそうです。
役者がセリフを覚える時、一度読んでしまうとそのあと何度読んでもなかなか覚えられないといいます。先入観というやつですね。私たちが経験で知っている「丸暗記はうまくいかない」ということのようです。
子供の記憶力が優れているのは、持っている情報が少ないため海馬がふるい落とさないからなのだそうです。
この話しはビジネスにおいても行動革新のためのヒントを与えてくれます。

それでは、罠に陥らないためには、どうすればいいのでしょう?

「知っている」の制御をはずしてあげればいいのです。「知らない」のスタンスでトライしてみたらどうでしょう。きっと子供のように情報はスポンジのように身体に吸収できるはずです。

わかったつもりにならない姿勢をとることで、好奇心が湧いてきます。
「もっと深く知りたい」と自分の情報感度が高まります。情報のアンテナが立った状態とでもいうのでしょう。これを「無知の姿勢」といいます。

その状態で、相手の話を聞いていて、ふつふつと自分の心に浮かんでくる言葉を口にしてみるのです。自分の心に浮かんでくる素直な疑問を相手に問いかけてみましょう。これを「よい質問」といいます。

子供は好奇心の固まりです。自分の知らないことは何でも大人に問いかけます。
だから、どんどんスポンジで水を吸い取るがごとく知識を吸収することができます。


そんなイメージであなたの目の前の方に素朴な疑問を問いかけてみるのです。

わかったつもりでは、何も情報が集まらない、身動きできないという、落とし穴が待っています。「無知の姿勢」で臨むと、毎日は情報の宝庫です。


大場コンサルティングオフィス 中小企業診断士 大場 宣英
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