
経営者の情報源 北法人会ビジネスニュース(2008年6月号)
どんなビジネスでも常にうまくいくことばかりではありません。時にはつまずいてしまうことや失敗してしまうことは誰にでもあります。
しかし、同じ失敗という現象に直面してもその後の状況がまったく異なってしまうのは何故か、明暗を分ける行動とは何でしょうか?
企業の不祥事が連日のように報道されています。
「非難をかわすにはどうするか」
「どうやったら問題を隠せるだろうか」
このように目先の利益を追求しようとするあまり、問題の処置の仕方を誤ったことによって、長年築いてきた信用を一瞬で失ってしまった会社もありました。
一方、自社の製品が欠陥であることが判明すると、利益を度外視しても顧客の安全を最優先する決断をした会社があります。その結果問題の発生が消費者の信頼を強める結果となってなっています。
両者の違いはどこからくるのでしょうか?
アメリカで洋服店を経営し、GE、IBM、コカコーラ、JPモルガンなどの一流企業の重役を努めるジャック・ミッチェルは、その著書『HugYourCustomers』で、企業が失敗や不祥事に直面した時にどうあるべきかを指南しています。
包み隠さず、すべてをさらけ出す。
こうすることで、失敗は困った問題からチャレンジすべき課題となる。
失敗を挽回するために賢明の努力をして顧客の期待を超えることができれば、信頼を獲得するチャンスへと進化します。
一瞬の明暗を分けるそれぞれの企業の決断。この「何をするか」がまさに企業で長年作られてきた企業の文化そのものではないでしょうか。
「失敗した責任を問う」のではなく、「失敗をかくす責任を問う」ているだろうか。
失敗した責任ばかりを問えば、次第に萎縮して、安全パイばかりを狙う組織となってしまうことでしょう。企業に求められるのは「創造的破壊」であり、常に古いものを壊して、新しいものを生み出していくチャレンジングスピリットです。失敗してもチャレンジが讃えられるような企業文化があれば、実力を思い切って発揮することができます。
「七転び八起き」ということわざがあります。多くの失敗にもめげず、そのたびに奮起して頑張れという意味ですが、何度も同じような失敗をしていたのでは進歩がありません。
1回転んだ時に、なぜそうなったのかを考えなければ、また同じような転び方を繰り返すことになります。
そこで、失敗から学びを得て知識化することが求められます。失敗から学びを得ようとする限り、それは失敗ではなく新しい価値を生む種となります。
そして、最後に大切なことは「まさか」をイマジネーションする「もしも」の力です。これは会社の他の誰も代替することのできない経営者が備えるべき要件です。
もしも「 」だったら・・あなただったら、カッコの中に何を入れるでしょうか?
商売が傷売となり、消売となってしまわないように、経営者は常にイマジネーションを働かせなければならないのです。
あなたの会社では、危機の到来を予期しているでしょうか、備えているでしょうか、そして、先手を打っているでしょうか?
今月の1冊は、京セラ設立者で盛和塾塾長稲盛和夫氏による「高収益企業のつくり方」。稲盛氏が主催する盛和塾で経営者の悩みに対する問答の形式で展開されます。私も何度も読んでいますが、その度に違った視点から気づきが得られる良書です。
会社を高収益にするには、どうすればいいか?そこにはいかに利益を増やすかといったハウツーの前に、経営者が押さえるべき根本的な問いかけがあります。
経営者自身が『自分の会社をなんとしても高収益にしたい』と心からの願望を持つこと。それも希望するといった程度の思いでなくどうしてもそうしたいという『心からの強い願望』が必要なのです。
この経営哲学が生まれるきっかけは、松下幸之助氏の講演であると本書の中にエピソードとして紹介されています。
講演が終わって質疑応答の時間になり、聴衆の一人が幸之助氏に質問する。「ダム式経営はすばらしいと思いますが、今余裕のない零細企業はどうすればいいのでしょうか。方法を教えてください」
幸之助氏はしばらく考え込んだ後こう答えたそうです。「そんないい方法、私も知りまへん。でもまず余裕がなけりゃいかんと思わなあきまへんな。」
答えになっていないと会場は笑い声に包まれますが、稲盛氏は先の『心からの強い願望』が経営に必要であることに気づきます。
巷にある成功話の類は後付のものがありますが、本書は、今すぐ実践したくなるアイディアの宝庫です。経営者であるあなたは、ピンとくることも少なくないでしょう。
[実学・経営問答]高収益企業のつくり方 稲盛和夫(著)
出版社:日本経済新聞社出版局
大場コンサルティングオフィス 中小企業診断士 大場 宣英
電話 022-292-3235 ファックス 022-292-32362
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