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経営者の情報源 北法人会ビジネスニュース(2009年2月号)

明日を創るために


米国に端を発した世界的な金融危機により国内の景気もかつてないほどに悪化しています。
総務省が発表した11月の家計調査では2人以上世帯の消費支出は9カ月連続のマイナス。内閣府が毎月発表している景気ウオッチャー調査では、現状判断DIは家計動向関連、企業動向関連、雇用関連共に2006年をピークに低下。とりわけ2008年後半以降の落ち込みが厳しくなっています。

もっともマスコミが毎日のように「先行き不安」を過剰に報道すれば、消費マインドが冷え込むのもある意味当然と言わざるを得ません。

先行きが不安視される中で、経済の専門家と呼ばれる方がコメントしています。
「景気が急角度で落ち込めば、それだけ底を打つのも早い」というV字回復期待論者。
「従来の景気循環の法則は通じない。どこまで落ちるか」「景気回復は○年以降になるのではないか」というL字型懸念論者。

ここは、V字型やL字型といったようなコメントに一喜一憂することなく、地に足つけて基本行動の徹底に向き合う時間として捉えていく必要があります。

ドラッカーが見事に指摘しています。
『われわれは未来についてふたつのことしか知らない。ひとつは、未来は知りえない、もうひとつは、未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違うということである。』

そして次のようにも述べています。
『未来を築くためにまず初めになすべきは、明日何をなすべきかを決めることでなく、明日を創るために今日何をなすべきかを決めることである』

私たちがなすべきことは「予測」ではなく「行動」でリスクを担保することです。

「今年の景気はどうなる?」
テレビに登場する評論家やコメンテーターのような責任感のない予測をしている場合ではありません。

一晩寝て起きたら状況が好転していたということはありませんから、ここはいつチャンスがきても、すぐチャンスをつかめるように、毎日素振りをしてその時に備えておくというスタンスが大切です。景気回復待ちで、目の前のチャンスを逃すことのないようにしなければなりません。

平凡なことが非凡さを生み出す。
秘策を探す前に、当たり前のことを実践できるようにしていきたいと考えます。

減収を招く要因は・・

先の「景気ウオッチャー調査」に、景気の現状について判断をした理由を聞いている項目があります。同じ業界においても景気の見方がわかれています。

観光型ホテル・旅館業では、「良くなっている」と回答した経営者は、「岩手・宮城地震の影響で6〜9月の売上は、前年比で30〜20%の減少となっていたが、紅葉・行楽シーズンや仙台宮城デスティネーションキャンペーン(以下DC)の効果もあり、前年並みに回復している」「悪くなっている」と回答した経営者は、「観光客誘致運動を展開しているが、目玉商品が少ないため予想より伸びていない。週末は地元客で賑わうが平日は非常に厳しく、入込は前年と比べて1割程度の減少となっている」

確かに東北の温泉街では、地震の風評被害で売上を落としたところが少なくないようです。天災は企業にとってコントロールできない外部要因です。一方で前者と後者の企業には、DCという外部環境を前にして明暗がわかれています。

経済環境が厳しくなれば、それだけ消費者の選別の目が厳しくなります。景気が後退局面にあるのは事実ですが、対応の仕方は企業によって温度差があるようにも見受けられます。

例えば、旅館・ホテル業では、客室稼働率を上げ、プランの内容や飲食、土産などの客単価向上策が企業の収益を決定づけます。関係者の間では「消費者の財布の紐が固くなって館内消費が落ちている」という声を聞きます。統制不可能な外部要因なので「だから大変だ」という認識なのです。でも、本当にそうでしょうか?

ある温泉旅館に泊まった時の話しですが、館内の土産物コーナーを見るとお客(私ですが)が欲しい商品がないのです。商品もただ並べているだけ、担当者もただ立っているだけで、売りたいという熱意が感じられません。他にもあります。

温泉旅館では、宿泊客がチェックインして部屋でくつろぎ、お風呂に入り、夕食を食べ、起床してまたお風呂に入り、朝食を食べてからチェックアウトする。

これは標準的な温泉旅館での時間の過ごし方ですが、それぞれの購買プロセスに対して、企業の業務プロセスが一致していない(客単価向上策がない)のです。

それでこの旅館の経営者が「消費者の財布の紐が固くなったから、自社の売上が伸び悩んでいる」と言っているとしたらどうでしょう?

顧客がチェックインしてから帰るまでの間に“キャッシュポイント”は確実に存在します。それを客単価向上に結び付けられないのは“売れない”からでなく“売っていない”という旅館側に問題があるのです。

起こりえない状況に機会あり

起こりえない状況に機会あり

ドラッカーは「企業や産業にとって、脅威であるかに見える新しい事態こそ、隠された機会が存在する」と述べています。

つまり、世の中の多くの人たちが脅威だと言っている時ほど、隠れている機会を探してみる価値があるのです。
多くの経営者が「起こりえない」と思っている状況ほど、徹底的に疑って、洗い出してみる必要があります。

例えば、2002年から続いた「戦後最長の景気拡大期」から2008年後半になって急激に景気後退が始まったと言われています。
数ヶ月後に景気が悪化するという局面は、当時としては予測することは困難ですから、現在のパニックを引き起こしているとも言えます。一方で全部がそうだった訳ではありません。拡大局面にあった時にその状況を疑って先手で対応していた方もいます。
脅威に見える新しい事態に隠された機会があるというのは、みんなが右を向いている時に左を見るという「へそ曲がりの発想法」です。実は、この発想法にヒントがあるのです。

現在の状況は、暗い面だけを見ていると悲観的な将来像しか見えてきませんが、嘆いてばかりもいられません。アングルを変えて将来像を描いてみる必要があります。

「だから大変だ」ではなく「だからありがたい」というアプローチです。

ダーウィンの進化論によると、強いものが生き残ったのではなく、自らを変化させることができたものだけが生き残り成長したとあります。この言葉は、今日の状況にも言えることです。

人間は順応性が高い生き物ですから厳しい環境におかれるほどに成長すると言われています。この状況を乗り越えようとする中で、社内の業務オペレーションの見直しが行われ、それが結果として顧客満足度を高め、顧客の支持を集める。そして、自らを変化させるための行動習慣が身につく。こう考えたらいかがでしょう。
脅威も機会に転じます。

「100年に1度の不況」と呼ばれる現在の経営環境はまさに暴風雨です。
嵐がいつ静まるのかも見えない状況です。
しかし、暴風雨が過ぎ去った時にこの“機会”をとらえ、経営基盤が強化されたとしたら・・
今、この状況は、私たちのビジネスを進化させるまたとないチャンスです。


大場コンサルティングオフィス 中小企業診断士 大場 宣英
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